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著者がリスクを取って明快な主張を展開した本。韓国、日韓関係はもとより、思考法の本としても有用 - by customer, 2023/05/28

5.0/ 5stars

筆者はソウル大政治学科で博士号を取得し、山口県立大を経て、現在は新潟県立大准教授。本書は著者の韓国、日韓関係のこれまでの著作『したたかな韓国』や共著書『徹底検証韓国論の通説・俗説』に比較すると、若者や韓国に関する予備知識がない人を含めた幅広い層に訴求するよう書いたようである。よって個別の主張の原典等は細かく記されないが、巻末に読書案内がある。色々な議論が章を跨って展開されているが、主な主張をあえてまとめようとすると以下のようなものがあると思う。○嫌韓論に浸っていると気分はよいかもしれないが、韓国に打ち負かされる原因となる。（好例は、慰安婦問題で国際社会の見方が見事に韓国寄りになっていること）○まず、基準や軸をきちんと定めて比較することで事実関係を把握し、そのうえで因果関係を理解することが大事。そして、相手の行動の背景にある相手なりのロジック、ルールを理解することが大事。○日本人には理解に苦しむ韓国司法の最近の徴用工や対馬の仏像盗難事件に関する司法の決定の原因の一つに、日本の植民地支配を当初から無効であったと考える韓国憲法がある○竹島問題の変遷も、国際社会のゲームのルールの変化が影響している○韓国は、国際秩序をピラミッド構造でとらえることが多い。韓国社会でよく使われる位相という考え方もその背景。○日韓関係での議論の多様性の許容度に日韓で大きな差がある。これは、学者や政治家と言ったいわゆる指導層の間でもそう。○慰安婦問題については、日本の外交戦略が大きく失敗したし、本件は日本人の誇りやプライドではなく、冷静な外交戦略の観点から処理すべき。論点は既に吉田証言の誤報ではなく、女性の人権侵害と言う反論できない問題に移行済み。一方日本政府の実施済みの総理名の手紙などは、もっと韓国に宣伝すべき。○他のイシューでも、主張が通らない時にこころとか文化とか情緒的なアプローチでことにあたろうとする日本のプレゼンは、国際社会で受け入れられやすいやりかた（ルール）に対応して資源を投入するという韓国に劣っている。ワシントンにおけるロビー活動の活発度でも同様。○東アジアの国際政治と言うより広い枠組みの中での日韓関係の動向については、日米韓トライアングルとこれに対する中国の動きが大きな変数。○米中の角逐が予想される東アジアの国際政治というゲームにおいて、日韓双方ともルールを自分で作れる力はない（「胴元になれない」）。この状況の中で、日本は米国にチップをかけて、日米韓対中国と言う枠組みを作りたいが、韓国は、地政学的要因もあって、米中の間でまた裂き状態にならざるを得ないという構造的要因の違いがある。○中国側にしてみれば一番弱いリンクは韓国なので、歴史問題での共闘姿勢などで韓国を中国側に引き込もうとするのが常道。よって、日韓対立で得をしているのは中国○日韓とも根本的な認識の面で差が生じている点が懸念される。一方、統計を取ってみると韓国の反日は経済的な実利に基づいて変化する。日韓の連携でお互いに得する部分は多く、韓国内の用日論にも注目する必要。○相手の等身大の姿を理解しようとしない日本の嫌韓、韓国の反日とは悪い意味の合わせ鏡のようで、共に問題である。○二国間関係の枠組みを超えて多様な視点を持つことで、敵対でも友好でもない普通の日韓関係を模索すべき。これまでの筆者の主張を知っている人にはrefresherとしてよいし、知らない人には最初の一冊としてよい。また、従来の著作に比べて、よりリスクを取って著者自身の主張を明快に述べているし、日本・韓国双方への批判も惜しまない。また、単に韓国や日韓関係に関する本としてとらえるのではなく、思考法について考えさせる本としても使える。耳触りの良い論ばかり接するのではなく軸を取って比較することで事実を把握すること、そして自分の主張に自分でチャレンジするとともに、誰が審判で、その審判に受け入れられやすいロジック・説明が何かをよく考えることが大事ということである。耳触りの良い嫌韓論、表層的な日本凄い論こそが審判に対しての説得力を弱めうるという意味では反日度、国益へのマイナス度は実は強いのかもしれない。巻末の読書案内もよい本が多いが、あえて挙げられていないものを追加するならば澤田克己氏の『脱日する韓国』と『韓国「反日」の真相』あたりかと思う。

この著者は韓国政府の御用達学者か? 言葉巧みに、韓国の言う嘘を事実のように書く - by Human, 2023/05/28

2.0/ 5stars

社会変化の一面を捉えて、それが全体であるかのようなタイトルをつけることは、疑問です。内容は「国際社会の現状の中で日本の主張は韓国に比較して圧倒的に下手で本来はどのように動くべきか」、「日韓協力は双方にとってメリットである」というものです。　筆者が指摘している変化しやすい日本や韓国の特性は、どの国も、どの人も、持っている性質のものです。各特性が状況によって表出するのは、人間の反応であり、延いては国の反応となります。日本や韓国に限ったことではありません。確かに社会・経済の特性として両国に似ているところはありますし、正反対の部分もあります。　従来の著者の本と内容に大きな違いはなく、日韓関係の悪化の原因については、日本について謙虚すぎる（不利な）議論がなされています。（洗脳されているのか? ハニートラップに遭って弱みを握られたのか?）たとえば、韓国の自己都合である被害者と加害者という表現を使用しています。日本によって朝鮮半島がどれだけ助かったか、朝鮮人による日本人への暴行や殺人、当時の時代背景（何が正悪のスタンダードであったか、当時の朝鮮の悲惨な社会・経済・外交状況）を考慮しないのでしょうか? 日韓関係が年ごとに悪化したのは、韓国の為政者の言動が最大の原因です。為政者が公式の場で約束を破ったり、ルールを守らないからです。また、韓国の教育（捏造された歴史物語を事実であるかのように洗脳教育している）も関係悪化の大きな原因です。筆者には、韓国の歴代為政者による歪んだ歴史教育の問題という大切な視点が落ちています。戦後の歴史を客観的に見れば、韓国内の歴史教育内容を事実に基づいたものに改善することが、つまり科学的・近代的にすることが、日韓関係を改善する唯一の方法でしょう。韓国内の教育に関しても、筆者は、反日・洗脳ではなく単なる愛国教育と論じています。しかし、愛国に反日を利用するのは不正義です。筆者が述べる世代間の反日感の度合いも、他の著者たちと反対です（データの出所はそれぞれどこ? 都合のいいデータを使って真実そうに見せかけることは可能）また、根拠なく「ドイツは欧州で謝罪と補償を行った」と書いていますが、根拠も具体例も示されてません（これも韓国自己都合流の表現で、筆者は洗脳されて事実が見えなくなっている?）。そして、日本がどれだけ韓国に謝罪と援助を繰り返したか、全く無視されています。日本の良心を韓国がすべて踏みにじったというのが事実です。　もう1つ、妥協や話し合いで関係の築ける相手ではないという視点も、筆者は全く落としています。戦後の歴史のみならず、朝鮮半島の三国時代からの歴史をよく理解することが最良です。国際舞台での対応には非常に鋭い著者ですが、文化や社会には疎いようです。取り返しのないほどの挫折を味わって、本当に内省する機会がなければ、かの国の非倫理性は変わらず、戦後の歴史の繰り返しになるでしょう。日本の良心は通じません。日本は、これ以上韓国を助けるべきではありませんし、妥協せず、毅然とした態度で臨むべきです。もう振り回されてはいけません。国の特性を人間で考えてみると、また朝鮮の歴史と文化を考慮すると、それが可能な限り最良の関係を築く基礎です。韓国人にも接しやすい方はいますが（日本人でもひどい人はいます）、とんでもない妄想的な歴史観をもった人が多いのも事実です。後者の方々には、非常に嫌な思いをします。　しかし、筆者に賛成できるのは、現象でなく原因を見て関係を改善しようと努力する視点、お互いの全体像を見ようとする点、相手を自分の鏡にするという謙虚な態度、国際的世論形成（日本は、嘘を広められている上に、竹島も嘘を並べられて国際裁判で取られる可能性があり、圧倒的に負けています）や裁判に用意周到な韓国の綿密な姿勢（国際的に有利な方策）を見習うべきという意見でしょう。日本国内だけで批判していても、自己満足に陥るだけで、何の解決にもなりません。国際裁判を含め国際的に世界を味方につけるには、現実問題としてその方法論が大切です。

不通から普通へ - by Luis, 2023/05/28

3.0/ 5stars

じゃないのかな、題名は。「韓国化する日本」は「クパクサ」が定義しているが、「日本化する韓国」とは何ぞ。概して舌足らずで意味不明なところが多い。カタカナ言葉が乱用され、著者は分かっているのだろうが、読者は取り残される。いいとこ、ブログの書きなぐりだ。題名から文化論だと思っていたが、政治学者の書だった。嫌韓の中心層が高齢の低所得層男性との分析で、代替わりで時代は変わる旨のことが書いていったが、なぜその層が嫌韓になったのかの分析は無い。おそらく日本の社会の問題なのだろう。どこかでうまくいかなかった場合の再挑戦が評価されない。で、あれば時代が変わり状況が好転するとは言えないかもしれない。日本も韓国も多かれ少なかれ中華文明下にある科挙社会だ。科挙と言う過去の試験が人生を決定する。その人の現在を見ない、見る能力が無い。どこかの誰かが判断した試験結果を鵜吞みにする。履歴書、学歴、職歴と過去ばかり見る過去社会。人生のどこかで低評価の履歴が残れば努力しても報われない。不満が鬱積してしまう。その発露としての嫌韓はではないのか。反日も同じ。韓国の学歴社会は有名だ。となると、この社会の在り方を決めている層の責任なのだが、その層は今の社会の在り方に安住している層だ。どこかで高評価の履歴が残れば努力しなくても報われる。その層が自身の特権を侵し兼ねない社会変化を指導するだろうか。結局、選挙改革と同じで自分の首が掛かると進歩が衰退することになる。そうしてかつての古代中国、或いは朝鮮半島は衰退したのだが、今後、日本はどうするのだろうか。

タイトルと内容はあまり関係ないです - by ああ, 2023/05/27

4.0/ 5stars

日韓関係を国際政治の分析手法を駆使して考えましょうという内容。日本と韓国が法の支配、自由主義など共通の価値を今後も共有出来るかどうかというのは北東アジアのパワーバランスの変化で韓国が離米従中路線をどれだけ進めるかというのと連動しているのであろう。従中＝垂直型ヒエラルヒーである華夷秩序2.0なので、国際法の原理である主権独立などといずれ衝突するだろうなというのが読後感。つまり法の支配などの近代的原則は今後もないがしろにされていくまま李氏朝鮮時代の自主属国時代に戻る。伊藤博文が韓国において司法を行政から分離して近代化を図ろうとしたが儒者が大いに邪魔をしたエピソードを思い出す。筆者は共通の価値がなくても実利で結びつく可能性も示唆しているが、日韓の経済関係よりも中韓の経済関係『人民元経済圏』に取り込まれる可能性の方が高いだろう。さらに言えば、日韓関係における実利とは、朝鮮半島は日米にとって緩衝帯としての意味しかないというのを韓国自身が自覚しているのではないかと推測する。パの韓国外交は米中協調G２路線におけるバランサーとして振る舞うというのが暗黙の前提なので、中国へのバンドワゴンに傾斜することでかえって外交上のフリーハンドを失いつつあるのではないか。とくにミサイル防衛を巡る米韓の交渉においてその断層が明瞭に見て取れる。

タイトルにつられて買ったけど - by Genasona, 2023/05/27

1.0/ 5stars

単行本にする内容かなあ？新書でよかったんじゃね？『余談ですが、私はスタジオジブリのアニメ作品が大好きです。(中略)そういうジブリ作品の心地よさを、日韓関係の見方にも応用してみてはどうでしょうか。』(91-92頁)本の帯に「これが、世界標準の思考法です」ってあるんですけど、マジ？世界標準ってもうそんなとこまで行っちゃってるの？！

ソウルに一人旅する人におすすめ - by Amazon カスタマー, 2023/05/27

4.0/ 5stars

1人で旅行する方におすすめ。一人ご飯に困らなかったです。

著者、訳者とも女性の感性がよく表れている - by 尾崎聖治, 2023/05/25

5.0/ 5stars

朝鮮戦争後の韓国の社会の一面を知るのに貴重な著書。主人公の人生と実社会の描写を通じ、韓国が今日までどのように発展を遂げてきたかも自然に理解することができる。

主人公に感情移入できませんでした - by 和泉ひとみ, 2023/05/25

2.0/ 5stars

悲惨な境遇にもめげずに生き抜こうとする主人公には感銘するがローディ、バンドマン ... となるのもすべて成り行きでありそこには明確な意思や選択というものがない。笑えたのが、好きな女の子には告白せずギター弾き、ミュージシャンとして生きていこうともせず最終的には資産家の娘と見合いで結婚し義父の経営する会社で働き財を成し子供や孫に囲まれて幸福な人生を...というところ。到底「ロックな生き方」とは言えないしこのタイトルを付けてほしくなかったと思う

主人公の姿に共感する。 - by ケッタ, 2023/05/23

5.0/ 5stars

朝鮮戦争の傷跡癒えぬ1960年代のソウルを舞台に、ミュージシャンを志し奮闘する主人公の生々しい生き様を、当時のソウルの雰囲気や米軍基地の様子を背景に、実に味わい深く描き出した作品である。世の中には、とことんまで夢を追い続け成し遂げる人も確かに存在するが、多くの人は夢叶わずに、どこかで挫折を味わうもの。だからといって、後者の人生が不幸かといえば、決してそんなことはない。夢を成し遂げた後に真っ逆さまに転落して行く人もあれば、挫折や妥協の後に幸せを手にする人もいる。長き人生、いろいろなことがあるもの。その意味で、様々な挫折を味わい人生の岐路に立たされた際に、あえて現実的な選択をしてしまった主人公を描き出した本作に、私は現実の生身の人間の弱さや苦悩を感じとり、かえって強く共感を覚えた次第である。

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